ご一緒した別のお友達は熱烈なフジコさんのファンで、「聞きに行く前に伝記を読んで!」と本を二冊も貸してくださり、3日で2冊、読了しましたよ!
外国人と日本人の混血ゆえに受けた差別、すべてをピアノにかけた子供時代、耳の病気、貧苦…栄光とどん底の両極を徹底的に突きつけられた生涯でした。
フジコさんといえば、ショパン、リスト。珠玉の超絶技巧として知られる、ピアノ弾きの中のピアノ弾きといったラインナップが十八番なのですね。
初めて聞くフジコさんのピアノは、とても不思議。自分も弾いたことのあるショパンの「別れの曲」やドビュッシーの「月の光」が、同じ曲とは思えない。有名な「ます」もまるで違う曲のよう。聞いたことのない演奏です。
ころころと珠が転がるような。軽くて、明るくて、透き通って、でもどこか真っ直ぐで。
ラストの「ラ・カンパネラ」はこれまた不思議で。短調なのに明るい。生き生きと、喜びに満ちている。自伝を先に読んでいたので、壮絶な苦しみの人生の中からこの音が紡ぎだされていると思うとますます心を打ちます。
ああ、どうしたんだろう。後半の方で涙があふれて止まらなくなりました。感動とも少し違う。心が、動いたのではない。心を超えて、魂が動いた。自分でもわけのわからない、説明のつかない涙でした。
「前世はリストだったのかも」と言ったのは冗談ですが、フランス?近代の街に住む貧しい女性だった過去生を見ているので、もしかしたら、同時代を生きていたのかもしれません。
導かれるようにチケットをいただき、導かれるように伝記を読まされた、流れ。「魂のピアニスト」に繋がったご縁でした。
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